2007年9月4日火曜日

(墓48)米国の日系「碁」事情は?

米国の日系「碁」事情は?
国際ペア囲碁選手権で来日したパンダネットの米国コーディネーター、マーク・オカダさんに聞く


日本ペア囲碁協会が主催する第一二回国際アマチュア・ペア囲碁選手権大会が(2001年)11月17日と18日に都内のホテルで開かれ、中国の范蔚菁(Weijing Fan/14)・黄晨(Chen Huang/13)組が優勝した。大会は日本の各地方ブロックの代表を含む21か国・地域から32組が参加して行われた。


大会期間中は、ネット上で囲碁の対局や観戦、指導碁も受けられる「パンダネット」(http://www.joy.ne.jp/panda/)の体験コーナーも設置され、同ネット合衆国のコーディネーター、マーク・オカダさん(63)も来日した。

オカダさんは、カリフォルニア州バークレー市在住の三世。祖父は兵庫県出身の故・平島音松氏。この祖父から、囲碁の手ほどきを受けたという。
「私が、一四歳のときだった。仕事から引退してひまを持てあましていた祖父の相手をするうちに、囲碁を覚えました」
と、オカダさんはいう。

ところが、北米の日系人のなかでは、オカダさんのように祖父や父親から囲碁を教わった人物は、多くないそうだ。
「三世のなかで、囲碁を打つ人はほとんどいないと思う。私の囲碁仲間にもいない」

“日本の文化”が断絶し、継承していないのだろうか。その背景には、第二次世界大戦の戦時下に行われた米国政府による日系人の強制収容がある。

「あの戦争のときに、日本の文化の多くが次の世代に継承されなかった。日本の文化への関心も薄れてしまった。(囲碁を打つ日系三世という)私の存在は、かなり“奇特”なんです。それに、北米の日系人の囲碁人口は少ないですよ」と、オカダさんはいう。

「私は、個人的には日本の文化に関心がある。裏千家の茶道も習っているしね」
出自国(この場合は日本)の文化(囲碁)が、ホスト国(米国)に伝播するさいに、移民集団が媒介とはならない現象は、他の国でも起こっているようだ。

今回、同大会に初参加したヴェネズエラのマリーア・プエルタさん(45)にもあてはまる。
プエルタさんは一〇年目に二ヶ月ほど研修で日本を訪れた。

「そのとき、JICAのナガトミさんに囲碁を教わったの」
その後、「ナガトミさん」がヴェネズエラに赴任した関係で、囲碁の愛好グループが現地で結成された。現在、会員は50人ほど。
「日本人の子孫たちから碁を教わったことはありません。逆に、私たちが彼らに教えています」と、プエルタさん。
大会の成績は? と質問してみると、
「う~ん。強豪ばかりだから。まあ、しょうがないわね」と、笑っていた。

※ペア囲碁・・・男女二人の各一組が対局する囲碁。日本で考案された。ちなみに、対局中の相談は禁止されている。詳しくは日本ペア囲碁協会(http://www.nkb.co.jp/pairgo/)へ。

『海外移住』KAIGAIIJU第603号2002年1月号掲載
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