2007年9月4日火曜日

(墓47)おやすみなさい

しんぽう週末コラム

若い日系人のセニョリータに、一番好きな日本語の言葉を聞いてみたら、「おやすみなさい」とのこと。

彼女の妹さんが、寝る時に言う、この言葉にとても優しい響きがあるから、という。そして、日本語を勉強しはじめて、その意味を理解し、ますます好きになった、という。
どうぞ心安らかになさって下さい、つまりぐっすり寝て下さい、という意味だが、「ぐっすり寝て下さい」とはっきり言ってしまったら、言葉の響きも意味も気持ちも、すべて損なわれるような気がする。日本語は、優しさを遠回しに表現するのだから。そこに、心根の温かさや、思いやりが込められている。

ちなみにこの姉は現在勉強中としても、以前は二人とも日本語はちんぷんかんぷんだった。祖父母の話していた日本語の断片が記憶に残っていて、それを日常の生活にも使っていたようだ。

我々はふだん何気なく日本語を話し、家族には面倒くさくなって「お休み」ともいわないこともあるが、かえって、この姉妹のように意味や気持ちをちゃんと伝えている人達がいるようだ。
とても些細なことだけれど、大切なこと。そのことに気付かせてくれて、ありがとう。
◇ ◇
心が痛い時に欲しいもの。それは、ただ一言の「おやすみなさい」。それだけでいい。
では皆様、どうぞ良い週末を…。
『ペルー新報』掲載日不明、冬のいつか


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